暦の上ではまだ大寒の厳しい寒さが残る1月25日。 少し早めの春の訪れを感じたくて、熱海梅園へ足を運んできました。
訪問前に一番気になっていたのは、やはり熱海梅園の開花状況です。 「日本一早咲きの梅」として知られるこの場所ですが、今回は「咲き始め」ならではの生命力と、明治時代から続くこの庭園の歴史に想いを馳せる、大人の休日を過ごしてきました。
半分はつぼみ、だからこそ感じる「これから」の息吹

園内に足を踏み入れると、ふわりと漂う梅の甘い香り。 1月25日時点での熱海梅園の開花状況は、木によってまちまちでした。
早咲きの品種は見事な満開を迎え、鮮やかな紅や白の花びらを青空に映えさせていましたが、園内全体を見渡すとまだ半分ほどは「つぼみ」の状態です。
若い頃なら「なんだ、まだ満開じゃないのか」と少し残念に思ったかもしれません。 しかし、年齢を重ねた今の目には、この景色がまた違って映ります。
固く結ばれたつぼみが、春の陽気を待ちわびて膨らんでいる姿。そこには静かですが、確かな生命力が宿っています。「これから咲くぞ」というエネルギーに満ちた木々と、すでに咲き誇る木々のコントラスト。 完成された美しさだけでなく、その過程にある「余白」を楽しめるのも、この時期の訪問ならではの特権かもしれません。
「散歩こそが薬」明治の豪商が遺した優しさ

熱海梅園を歩きながら、ふとこの庭園が造られた理由を思い出しました。
開園は明治19年(1886年)。 当時、内務省の長与専斎が提唱した「適度な運動こそが健康への近道」という考えに共感した横浜の豪商、茂木惣兵衛が私財を投じて開いたのが始まりです。
当時の熱海は湯治場として有名でしたが、温泉に浸かるばかりで運動不足になりがちでした。そこで、「病気の回復を早めるには、美しい庭園を散策して体を動かすのが一番」という想いから、この梅園が生まれたのです。
- 温泉(静養)

- 散策(運動)

この2つを組み合わせた、いわば明治時代の「ヘルスケアリゾート」構想ですね。 起伏に富んだ園内をゆっくりと歩いていると、少し息が弾みます。この心地よい疲れこそが、先人たちが願った「養生」の形なのだと感じ入りました。私たち50代にとっても、まさに理にかなった休日の過ごし方です。
花より団子?老舗の味でほっと一息
起伏のある園内を歩いて少しお腹が空いたので、園内にある「常盤木羊羹店」でひと休みすることにしました。 熱海の老舗和菓子店として有名なお店ですが、ここで頂いた軽食が冷えた体に最高のご馳走でした。
注文したのはこちら。
- カニ雑炊(500円)

- 梅ゆかり(昆布茶)(400円)

ワンコインで食べられるカニ雑炊は、出汁がしっかりと効いていて、散策で冷たい風に当たった体にじんわりと染み渡ります。ハフハフと言いながら熱々を頬張る幸せ。これぞ冬の散歩の醍醐味です。
一緒に頼んだ「梅ゆかり」は、梅の風味が香る昆布茶。 梅園の景色を眺めながら、梅の香りのお茶をいただく。まさにその場の空気を丸ごと味わうような、風流なひとときでした。 甘い羊羹も良いですが、こうした塩気のある温かいメニューは、大人の休憩には嬉しいですね。
五感で楽しむ早春の散策

園内には初川が流れ、5つの橋がかかっています。 「鶯橋(うぐいすばし)」や「香浮橋(こうふばし)」など、風流な名前の橋を渡りながら、せせらぎの音と梅の香りに包まれる時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれます。
満開の木の下で写真を撮るのも良いですが、まだ咲ききらぬ木々の枝ぶりを眺め、「あと1週間もすれば見頃かな」と想像を膨らませるのも一興。 紅白の梅だけでなく、足元に咲く水仙の可憐さも印象的でした。
訪問メモ(これから行かれる方へ)
もしこれから熱海梅園を訪れるご予定があるなら、以下の点をご留意ください。
- 開花状況: 熱海梅園 開花状況は1月下旬時点では「咲き始め~5分咲き」といった印象です。満開の華やかさを求めるなら2月に入ってからが良いかもしれませんが、混雑を避けてゆっくり散策したいなら今がおすすめです。
- 服装・足元: 園内は意外と高低差があります。歴史ある石畳や階段もありますので、歩きやすいスニーカーなどが安心です。
- 駐車場: 梅まつり期間中は混み合いますので、早めの時間の到着をおすすめします。
おわりに

「満開」だけが花見ではない。 つぼみの力強さと、明治人の健康への願いに触れた1月25日の熱海梅園。
温泉で体を温める前に、冷たく澄んだ空気の中で梅の香りを胸いっぱいに吸い込む。 そんな「整う」時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

●熱海梅園の施設情報
- 名称:熱海梅園(あたみばいえん)
- 住所:〒413-0032 静岡県熱海市梅園町8-11
- 電話番号:0557-86-6218(熱海市公園緑地課)
- 休園日:無休(常時開園)









