【今日からできる!】運動で始める認知症予防ガイド

認知症予防について

「最近、物忘れが増えてきたかも…」「将来、認知症になったらどうしよう…」

そんな不安を感じていませんか?

認知症は、誰にとっても他人事ではありません。しかし、悲観する必要はないんです。実は、私たちの最も身近な習慣の一つである「運動」が、認知症予防の強力な味方になることが、科学的に証明されています 。  

この記事では、なぜ運動が認知症予防に効果的なのか、どんな運動をどれくらいすれば良いのか、そしてどうすれば安全に楽しく続けられるのかを、専門的な研究結果を基に、誰にでも分かりやすく徹底解説します。

この記事を読めば、あなたも今日から、未来の自分のために、確かな一歩を踏み出せるはずです。


なぜ運動が認知症予防に効くの?脳で起きているすごいこと

「運動が体に良いのは分かるけど、どうして脳にも効くの?」と疑問に思う方も多いでしょう。運動が認知症のリスクを低減するのには、ちゃんとした科学的な理由があります。

研究が示す!運動による認知症リスクの低下

数多くの研究が、運動習慣のある人はない人に比べて認知症になりにくいことを明らかにしています。

例えば、日本の国立長寿医療研究センターの研究では、週3回以上運動する高齢者は、そうでない人に比べて認知症になるリスクが大幅に低いことが分かっています 。また、1日に3.2km以上歩く人は、1.6km未満の人に比べて認知症の発症率が約半分だったという報告もあります 。  

特に、認知症の主な原因であるアルツハイマー病血管性認知症の予防に効果的です 。さらに、認知症の一歩手前の「軽度認知障害(MCI)」の段階から運動を始めることで、認知機能の維持・向上が期待でき、本格的な認知症への進行を食い止めることができるのです 。  

運動で脳が変わる!知っておきたい4つのメカニズム

運動をすると、私たちの脳の中では、健康を守るための素晴らしい変化が起きています。

1. 脳の血流がアップ!

運動は心臓の働きを活発にし、脳に送られる血液の量を増やします 。新鮮な酸素や栄養がたっぷり詰まった血液が脳の隅々まで行き渡ることで、脳細胞が元気になり、働きが活性化します 。  

2. 脳の”栄養ドリンク”が増える!

運動は、脳細胞の成長を助ける「神経栄養因子」という物質の分泌を促します。

  • BDNF(脳由来神経栄養因子):通称「脳の肥料」。記憶を司る「海馬」という部分で特に多く作られ、脳の神経細胞を育て、記憶力や学習能力を高めてくれます 。  
  • IGF-1(インスリン様成長因子1):特に筋トレで増えることが知られており、神経を守る働きがあります 。  

これらの”栄養ドリンク”が脳を満たすことで、脳はダメージに強くなり、若々しさを保つことができるのです。

3. 脳の構造自体が変化する!

運動を続けると、記憶の司令塔である「海馬」が大きくなる可能性が示されています 。さらに、アルツハイマー病の原因物質とされる「アミロイドβ」というゴミが脳に溜まるのを防ぐ効果も報告されています 。  

4. “運動の脳”を鍛えて、認知機能もアップ!

バランス感覚を司る「小脳」は、実は注意力や思考力といった認知機能にも深く関わっています 。片足立ちなどのバランス運動は、この小脳を直接刺激し、脳全体のネットワークを強化する、いわば「脳の筋トレ」でもあるのです 。  

このように、運動は様々な角度から総合的に脳を守ってくれる、最高の予防策なのです。


何をすればいい?認知症予防におすすめの運動メニュー

では、具体的にどんな運動をすれば良いのでしょうか?世界保健機関(WHO)や日本の厚生労働省も、具体的なガイドラインを示しています 。難しく考えず、まずは「今より10分多く体を動かす」ことから始めてみましょう!  

今日から始められる!3つの基本運動

認知症予防には、1つの運動だけをやるよりも、「有酸素運動」「筋力トレーニング」「バランス運動」の3つをバランス良く組み合わせることが最も効果的です。

1. 有酸素運動:楽しくおしゃべりできるペースで

ウォーキングや軽いジョギング、水泳、サイクリング、ヨガなどがおすすめです 。  

  • 強度の目安:「少し息がはずむけれど、おしゃべりは楽しめる」くらい 。  
  • 時間の目安:1回10分以上、週に合計150分(1日約20~30分)を目指しましょう 。  

2. 筋力トレーニング:大きな筋肉を意識して

スクワットや、椅子を使った立ち座り運動、かかと上げなど、自宅で簡単にできるものでOKです 。  

  • 回数の目安:8~12回を1セットとして、2~4セット行いましょう 。  
  • 頻度の目安:週に2日以上、筋肉を休ませるために連続しない日に行うのが理想です 。  

3. バランス運動:転倒予防&小脳の活性化

片足立ちや、目を閉じてその場で足踏み、太極拳などが効果的です 。ストレッチも忘れずに取り入れ、筋肉の柔軟性を保ちましょう 。  

脳トレ+運動で効果アップ!話題の「コグニサイズ」に挑戦

「コグニサイズ」とは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と脳トレ(計算やしりとりなど)を同時に行うプログラムです 。体を動かしながら頭を使うことで、脳を効果的に刺激し、認知症の発症を遅らせることを目指します 。  

コグニサイズの面白いところは、完璧にこなすことではなく、「適度に間違える」ことが大事な点。課題が簡単すぎると脳への刺激が足りません。あえて脳を混乱させることが、最高のトレーニングになるのです 。  

お家でできるコグニサイズの例

  • 計算ウォーク:ウォーキングしながら、100から順番に7を引いていきます(100, 93, 86…)。  
  • しりとりステップ:その場で足踏みをしながら、しりとりをします。「動物の名前」などテーマを決めると難易度がアップします 。  
  • 3の倍数ステップ:足踏みをしながら数を数え、3の倍数のときだけ手を叩きます 。  

安全第一!運動を楽しく続けるための3つのコツ

せっかく運動を始めても、怪我をしたり、三日坊主で終わってしまっては意味がありません。安全に、そして長く続けるためのポイントをご紹介します。

1. 始める前に:持病がある方は必ず医師に相談を

高血圧や心臓病、糖尿病などの持病がある方は、運動を始める前に必ずかかりつけ医に相談しましょう 。自分の体の状態を正しく知ることが、安全な運動への第一歩です。  

2. 運動中は:準備運動と水分補給を忘れずに

  • ウォーミングアップとクールダウン:運動の前後には、それぞれ5~10分程度の準備運動と整理運動を必ず行いましょう。怪我の予防や、運動後の体調不良を防ぎます 。  
  • 水分補給:喉が渇く前に、こまめに水分を摂ることが大切です。特に高齢者は脱水になりやすいので、運動前・中・後に意識して水を飲みましょう 。  
  • 無理は禁物:胸の痛みやめまいなど、少しでも体調に異変を感じたら、すぐに運動を中止してください 。  

3. 続ける秘訣は:一人より、仲間と!

運動を続ける一番のコツは、「楽しむ」こと。そして、楽しむためには仲間がいると心強いものです。

ある研究では、一人で運動するよりも、仲間と一緒に運動する方が、認知機能の低下をより効果的に予防できることが分かっています 。  

仲間との会話はそれ自体が脳トレになりますし、社会的な繋がりは心の健康にも良い影響を与えます 。地域の運動教室やサークルなどに参加して、楽しみながら続けていきましょう。  


おわりに:運動を始めて、未来の自分を守ろう

認知症予防のための運動は、特別な器具や難しい技術が必要なわけではありません。「今より10分多く歩いてみる」「テレビを見ながら少し筋トレをしてみる」そんな小さな一歩からで大丈夫です。

運動は、脳の血流を良くし、脳の栄養を増やし、脳の構造さえも変えてくれる、最高の投資です。そして、その投資を始めるのに「遅すぎる」ということはありません。

この記事を参考に、ぜひ今日から体を動かす習慣を始めて、健やかで活力に満ちた未来を、ご自身のその手で掴んでください。


【お住まいの地域で探してみよう】運動プログラム活用例

一人で始めるのが不安な方は、お住まいの地域のプログラムを活用するのがおすすめです。ここでは埼玉県を例に、どんな場所で情報を探せるかをご紹介します。ぜひ、ご自身の市区町村でも同じように探してみてください。

相談窓口

  • 地域包括支援センター:高齢者のための総合相談窓口。介護予防や認知症予防に関する情報提供、運動教室の紹介などを行っています 。  
  • 社会福祉協議会:地域の住民が集まる「ふれあいサロン」などを支援しており、健康体操などの活動が行われています 。  

プログラムの探し方

市区町村の広報誌やウェブサイトで、「いきいき百歳体操」「介護予防教室」「高齢者 体操」といったキーワードで検索してみましょう。

表:狭山市における高齢者向け運動プログラムの例

プログラム名/種類活動内容場所の例
いきいき百歳体操  DVDを見ながら行う筋力トレーニング。住民が主体となって運営。市内の公民館、自治会館など
ふれあいサロン  健康体操やレクリエーションなど、交流を目的とした集いの場。各自治会館など
ますます元気教室  筋トレ、口腔ケア、栄養、認知症予防などを総合的に学ぶ教室。各公民館など
ノルディックウォーク教室  ポールを使ったウォーキング教室。市内各所

このように、多くの自治体で高齢者が気軽に参加できる運動の機会が用意されています。まずは、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせてみましょう。

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