MCI軽度認知障害とは何か同居家族の体験談
同居している義父に物忘れや行動の変化が見られ、軽度認知障害(MCI)の受診を勧めることになった体験をお話しします。実際に進める過程では、想像以上にさまざまな壁がありました。しかし、家族で根気強く向き合うことで、少しずつ前進することができました。この経験を通じて、家族のサポートや理解がいかに重要かを強く実感しました。
義父の性格と説得の難しさ
まず、義父は他人の話を素直に受け取らないタイプです。昔から何を説明しても最初は否定から入り、相手の言葉を信用しません。情報源はテレビのみであり、自分が持っている知識やイメージこそが正しいと信じて疑わないのです。例えば、私が相模湾でマグロ釣りをした話をしたときのことです。遊漁船で1万円ちょっとの費用で釣りができると説明したのですが、「そんなはずがない、嘘をつくな」と怒鳴られました。おそらく彼の頭の中には松方弘樹のクロマグロ釣りのイメージしかなかったのでしょう。
また、お米についても同様です。知人の米農家から特Aのコシヒカリを格安で購入していた時に、「そんな贅沢な米を食べるなんて」と怒鳴られました。しかし実際にはスーパーで販売されている30キロのお米にわずかな上乗せをした程度の金額で、むしろ好意によるお得な取引でした。それでも義父は相場を知らず、自分の想像だけで判断して怒ってしまったのです。このような頑固な性格のため、MCIの検査について説明するのも一筋縄ではいきませんでした。
しかし、生活リズムの乱れや物忘れの頻度が増えていることを一つずつ具体的に示し、さらに「これは健康診断のようなものだ」と伝えることで、意外にもすんなり受け入れてくれました。結局のところ、本人も心の中では少なからず不安を抱えていたのだと思います。
意外な伏兵は義母
次に立ちはだかったのは義母でした。義母は義父以上に検査そのものに強く反対しました。最初は理由をはっきりと言わず、「そんな必要はない」とだけ繰り返すので説得は難航しました。しかし、30分以上も粘り強く説明を続けた結果、ようやく本音を語ってくれました。義母は「検査を受ける=認知症が確定する」と思い込んでいたのです。つまり、夫が長年連れ添った相手として認知症になるという現実を受け入れられないことが、最大の抵抗の理由でした。
このように考える義母にとって、検査に行くことは「認知症の宣告を受けること」と同じ意味を持っていたのです。だからこそ、恐怖が先に立ち、強い拒絶反応を示したのだと理解できました。実際に本音を聞き出せたことで、こちらの対応も変わり、恐怖を和らげることを意識して説明するようになりました。その結果、義母も少しずつ理解を深めることができたのです。
義父母の情報の偏りと習慣
義父母は長年テレビを唯一の情報源としてきたため、考え方が偏っている部分があります。しかも新しいことに挑戦するのが苦手で、わからないことがあると「もういいや」「わからないからいい」と思考を止めてしまいます。そのため、話し合いの中でも説明を受け入れずに終わってしまう場面が何度もありました。
しかし、それでも諦めずに繰り返し説明を重ねることで、少しずつ受け入れてくれるようになりました。高齢になると新しい情報を取り入れる柔軟性が不足しがちですが、丁寧に向き合うことで理解が進むということを実感しました。また、義母にスマホを持たせてはいるものの操作に慣れていないこともあり、外部からの新しい情報に触れる機会が少ないことも大きな要因だと思います。
予約という新たな壁
ようやく義父母を説得し、脳神経外科へ予約の電話をしました。しかし、現実はさらに厳しく、最短で受診できるのは2か月先の10月26日でした。今やMCIの検査は非常に人気があり、どこの病院でも予約が殺到しているのです。そのため、検査を受けるまでの待ち時間が長く、私達の方が忘れてしまいそうになるほどです。
それでも、まず予約が取れたという事実は大きな前進です。検査を受けるまでの間に、義父の日常生活の様子や物忘れの頻度をしっかりと記録しておくことにしました。そうすることで、診察の際に具体的な状況を医師に伝えることができ、診断の精度も高まると考えています。待ち時間を有効に使うことで、家族としての準備を整えることができると前向きにとらえています。
家族で向き合うことの大切さ
今回の体験を通じて、家族それぞれの性格や価値観によって、同じ説明でも受け取り方がまったく異なることを痛感しました。義父には健康診断になぞらえる説明が効果的でしたし、義母には恐怖心を和らげるための言葉が必要でした。このように、相手に合わせたアプローチを取ることが大切だと強く感じました。
さらに、医療の問題は単に本人だけのものではなく、同居する家族全員が影響を受けます。そのため、家族が協力し合い、気持ちを共有しながら進めていくことが欠かせません。特に認知症やMCIのように将来に不安を抱える可能性がある場合には、事前に話し合いを重ねることで心の準備を整えることが大切です。
まとめ
MCI軽度認知障害の受診は、本人だけでなく家族にとっても大きな試練です。しかし、丁寧に説明を続け、相手の気持ちを尊重することで理解が得られることもあります。そして、検査を受けることは決して「認知症確定」ではなく、むしろ早期に状態を知り、安心や予防につながる第一歩です。
