夜のトイレ誘導で起きるとその後がゾンビ~になるお婆ちゃん

夜のトイレ誘導と短期記憶障害の認知症のおばあさん

排泄ケアは日常生活の中でも大きな課題となります。特に夜間は状況によって失禁のリスクが変わり、介護スタッフにとっても対応方法を考える必要があります。今回は実際の事例を交えながら、短期記憶障害と失禁に関する排泄ケアの在り方を考えてみたいと思います。

浅眠と熟眠

今回のおばあさんは短期記憶障害で、一瞬で新しい情報を保持できなくなります。夜間は熟眠や浅眠の状態によって自力でトイレに行けるかどうかが変わるため、介護の難しさが一層増すのです。熟眠状態の日は3時間ごとに声掛けをしてトイレ誘導しないと、ほぼ確実に失禁してしまいます。しかし一方で、浅眠状態の日は自ら起きてトイレに行くことが可能です。つまり、その日の睡眠状態に合わせた柔軟な対応が必要となります。ただし声掛けを行うと、夢と現実と過去の体験の世界に入り、夜間の徘徊や不安行動につながるケースがあります。

夜間の不安行動

トイレ誘導のため起こすと再入眠するまで時間がかかり、その間何度もフロアへ来ては「家に帰りたい」「晩御飯を作らないと」「息子が帰ってきたので」「布団を干さないと」等いろいろ言っては外へ出ようとします。その際には、会話の中で気持ちを受け止めたり、時計や外の暗さを見せて納得してもらうようにします。まぁ大体は「嘘よ」「意地悪よね」と言われますが秒で忘れます。それでも出れないと「あなたクビよ」「帰ってください」と言われます(笑)これを夜勤中何度も繰り返します。正直面倒ですが受け止めることによって、その瞬間の安心感が次の行動につながるからです。

おばあさんの本気

お婆さんの凄いところは、外に出るためにあの手この手で挑んでくるのです。普段つんのめりで歩くため床と履物が擦れる音が結構大きくわかりやすいのですが、何度か繰り返している間に歩き方が変わってきて無音で歩いてくるのです(笑)そ~っとフロアに来て周りを見渡し私の存在を確認しいないと思うとドアの2つの鍵を開けるのです。普段は猫背なのにこの時だけは背筋がビシッと伸びます(笑)反復と確認なんですかね?外に出たいという強い意志が記憶を留めるんでしょうね。でも朝話すとすっかり忘れています。そして言われます「嘘よ」「また話作って」と…(笑)

声掛け誘導と睡眠優先のジレンマ

ここで課題となるのが「声掛けによる失禁予防」と「睡眠の質を保つこと」のどちらを優先するかです。声掛けしてトイレ誘導することで失禁を防げば、本人の尊厳保持につながります。しかし、本人は短期記憶障害のため失禁したことを忘れてしまい、その時の恥ずかしさだけが一瞬の感情として残ります。逆に声掛けをせず睡眠を優先すると、失禁後に全更衣やリネン交換が必要になり、介護負担は増えますが、本人は熟睡を続けられるという利点もあります。でもお婆ちゃんは全更衣の時は必ず「こんなこと初めて」「ごめんなさい」と言ってきます。

尊厳保持のためにできる工夫

介護の現場では、本人の尊厳を守ることが最も大切です。そのため、熟眠の日は3時間ごとに声掛けを行い、できるだけ失敗を減らすことが望ましいと考えられます。一方で、浅眠の日は様子を見守り、必要に応じて対応することで不安行動を抑える工夫も必要です。つまり、状況を見極めながら柔軟にケア方法を変えていくことが求められます。

介護者に求められる姿勢

失禁による全更衣やリネン交換・不安行動は、介護する側にとって大きな負担になることがあります。しかし「面倒」と感じるか「人間らしさを支える大切な時間」と捉えるかによって、ケアの質は変わります。排泄ケアは単なる作業ではなく、尊厳を守るための大切なケアであることを忘れてはならないのです。

まとめ

排泄ケアは、声掛けと見守りのバランスが重要です。失禁を防ぐための誘導と、睡眠を優先する配慮の両方を考えながら、その人にとって最も尊厳を守れる方法を選ぶことが大切です。介護の現場では正解が一つではなく、状況に応じた柔軟な対応こそが「その人らしさ」を支えるケアにつながるのです。

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