自然と調和する味わいの旅
群馬県の北部に位置する川場村は、四季折々の自然美が楽しめる静かな山里です。春の新緑、夏の深い緑と涼風、秋の色鮮やかな紅葉、冬の雪化粧──。まるで絵本の世界のような風景が広がり、都会の喧騒を忘れさせてくれるこの地は、心と体を癒やしたい人にぴったりの場所です。
そんな自然豊かな川場村の一角に、静かに佇む蕎麦屋「和太奈部(わたなべ)」があります。地元の人々だけでなく、遠方からの観光客にも愛されるこのお店では、川場の自然と真心がつまった、本格的な蕎麦を味わうことができます。

地元に根ざした温かなおもてなし
和太奈部は、村の中心地から少し離れた静かな場所にあります。まるで隠れ家のような存在で、店内に足を踏み入れると、木の香りとともに、落ち着いた和の空間が広がります。長年地域に根ざして営業してきたこのお店は、地元の人々から厚い信頼を得ており、常連客の姿も多く見られます。

店主やスタッフの温かい接客もまた、訪れる人々の心をほっと和ませてくれます。都会の時間の流れとは異なる、ゆったりとしたひとときを過ごせるのが、和太奈部の大きな魅力です。

十割蕎麦の香りと食感
和太奈部の最大の魅力は、何といっても蕎麦そのものの美味しさにあります。川場村で育った蕎麦の実を石臼で挽き、つなぎを使わずに打つ「十割蕎麦」は、香り高く、風味豊か。噛むごとにしっかりとしたコシと口いっぱいに広がる香ばしさを感じられます。

蕎麦はすべて、注文が入ってから丁寧に茹でられます。職人の手で一枚一枚丁寧に仕上げられる蕎麦は、どれも完成度の高い一品。食べるたびに、素材と技の融合を実感できるはずです。

こだわりのつけだれとそば湯
蕎麦の美味しさを引き立てるつけだれにも、店のこだわりが詰まっています。かつお節や昆布などの天然素材から丁寧にとった出汁を使用し、甘さ控えめで、まろやかさとキレのある味わいが特徴です。素材の旨味がしっかりと生きており、蕎麦との相性は抜群です。
また、食後には「そば湯」が提供され、ほっとひと息つきながら、最後まで蕎麦の余韻を楽しむことができます。胃にもやさしく、体の芯から温まるひとときです。
揚げたての天ぷらと季節の味
和太奈部では、蕎麦に添えられる天ぷらも大きな楽しみのひとつ。川場村や周辺地域で採れた新鮮な野菜を中心に、衣を薄くまとわせてカラッと揚げた天ぷらは、外はサクサク、中は素材の甘みがじゅわっと広がります。
春には山菜、夏にはナスやズッキーニ、秋にはきのこ、冬にはかぼちゃやごぼうなど、旬の素材が登場するため、訪れるたびに新しい味に出会えます。季節限定の蕎麦メニューも豊富で、冷たいおろし蕎麦やとろろ蕎麦、温かい鴨南蛮など、その時期ならではの味が楽しめます。

古民家のぬくもりと自然の眺め
和太奈部の店舗は、築年数を感じさせる古民家を改装した建物です。木の梁や障子、畳の部屋など、日本の伝統建築の魅力をそのまま残した空間は、懐かしさと落ち着きを感じさせます。
店内の大きな窓からは、川場村の豊かな自然が広がり、山の緑、澄んだ空、風の音や鳥のさえずりを感じながら食事ができます。天気の良い日にはテラス席もおすすめで、自然と一体となるような感覚で蕎麦を味わえます。

蕎麦だけじゃない、川場村の魅力
和太奈部でお腹を満たしたあとは、川場村のほかの魅力もぜひ堪能してください。道の駅「川場田園プラザ」では、地元の野菜やおみやげ、手作りスイーツ、地ビールなどが楽しめ、観光スポットとしても人気です。
また、蕎麦打ち体験ができる施設もあり、自分で打った蕎麦を食べるという貴重な体験ができます。親子連れにも好評で、食育や思い出づくりにぴったりです。季節によっては、スキー、ハイキング、温泉など、さまざまなアクティビティも楽しめます。

訪れる前に知っておきたいこと
和太奈部へのアクセスは車が便利です。関越自動車道・沼田ICから車で約15分、駐車場も完備されています。公共交通機関では、JR沼田駅から川場村行きのバスを利用し、最寄りのバス停から徒歩でアクセス可能です。
営業時間は11時から15時(ラストオーダーは14時30分)で、火曜日が定休日です。臨時休業もあるため、訪問前に電話や公式サイトでの確認がおすすめです。特に土日祝日は混雑することがあるので、早めの来店が安心です。
五感で味わう、心に残る蕎麦の時間
和太奈部での食事は、ただの「食べる時間」ではありません。香り高い蕎麦、やさしい味わいのつけだれ、旬の天ぷら、そして川場村の自然や空気──五感すべてで味わう体験が、訪れる人の心に残る特別なひとときになります。
もし川場村を訪れる機会があれば、ぜひ和太奈部で、心と体がよろこぶ蕎麦の時間を過ごしてみてください。